ニジェールの軍事クーデター 国際社会から批判 迅速な民政移行 援助再開の鍵
2010-02-26
西アフリカ・ニジェールで18日、軍事クーデターが起き、タンジャ大統領と主要閣僚が逮捕された。 「民主主義復興最高評議会(CSRD)」を名乗る反乱兵士らは、憲法と全国家機関の活動停止を命じた。同大統領は昨年、憲法改正を強行して任期を延長した が、欧州連合(EU)が援助を停止するなど、国際社会からの圧力が誤算となった。旧宗主国・フランスへの主要ウラン輸出国としての役割を過信した結果とい える。軍事政権が速やかに民政に移行するかが次の焦点だ
≪分析≫
ニジェールは暴力を通じて政治危機に対処してきた歴史を持つ。1960年にフランスから独立して以降、同国は慢性的な政治の不安定と一連の軍事 クーデターに悩まされてきた。軍は政治に深く関与し続けている。元軍幹部のタンジャ大統領も、99年の軍事クーデター後の民政移管選挙で初当選し、 2004年に再選された。今回の軍事クーデターで民主主義回復に向かうのか、軍部が権力を掌握し続けようとするかが、今後の鍵を握る。
◆憲法改正を強行
タンジャ大統領は、09年12月末までの任期を延長しようと、国民投票を計画。議会と憲法裁判所が反対すると、両者を解散した。同年8月、大統領 の権限を強化し、連続2期の再選制限規定を廃止した新憲法の国民投票を強行。任期を3年延長した。野党勢力は国民投票に不正があったと糾弾している。
2カ月後の10月に行われた総選挙は野党がボイコットし、タンジャ大統領は国際的な非難を浴びたが、与党「社会発展国民運動(MNSD)」は圧倒的多数の議席を獲得。反政府デモやストライキも状況を変えるには至らなかった。
タンジャ大統領は11月に野党の有力政治家3人に逮捕状を出すなど反政府派への弾圧を強化。この結果、国際社会からの非難を招き、国民の約60%が1日1ドル(約90円)以下で暮らす貧困国ニジェールにとって、命綱ともいえる海外からの援助が脅かされている。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はニジェールの総選挙を受け、同国の参加資格を停止。ニジェールの主要援助元であるEUは大半の援助を 凍結し、タンジャ政権に野党と話し合うよう圧力をかけた。米国も、アフリカ産品への関税をゼロにする「アフリカ成長機会法」の適用を停止するとともに政権 幹部の入国を禁止した。
◆ウランとテロ組織
周辺国や主要援助国はニジェールの政治の安定に重大な戦略的関心を持っている。
ニジェールは、世界最大級のウラン産出国だ。新鉱山の開発により、今後20年間に産出量は少なくとも倍増するとみられる。とくに、フランスは原子力発電所用のウラン供給をニジェールに大きく依存しており、同国の安定に強く関与するとみられる。
しかし、ニジェールはここ数年、外交関係の多角化を図っており、仏国営原子力企業アレバを通じたフランスによるウラン独占は崩れ、鉱山石油部門で中国の影響力が高まりつつある。
ニジェールは、サハラ砂漠南縁のサヘル地域で安全保障上の慢性的な脅威と戦うパートナーでもある。国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQIM)」などのイスラム過激派の脅威に対処するため、米国とフランスがニジェールに軍事援助している。
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≪結論≫
クーデターを起こした兵士らは国際社会の批判を浴びているものの、これまでのところ国民の支持を得ている。ニジェールが迅速に憲法による秩序を回 復すれば、選挙後に国際社会からの開発援助は再開され、近隣諸国との関係も改善するだろう。しかし、軍事政権が国際圧力に抵抗し、権力にしがみつけば、政 治の不安定が続き、外交的にも孤立。最近まで続いていた経済発展のもろさが露呈することになる。(オックスフォード・アナリティカ)